「企業文化」の形成を広島移転で
―広島でどんな活動をしているんですか?
ー井口さん サウナはサ道部として活動しています。継続的にやっているのはテニス、それが発展してビーチテニスもしますね。毎週月曜日はお寺で座禅をしたり。エクレクトにはジム人口も多く、筋トレ部もあります。一人ひとりが筋トレをスラックで報告してモチベーションにしています。BBQ、サウナ、焚火…は火を見すぎて会話盛り上がらず(笑)
ビーチバレーを楽しむ辻本さん(左)と財満さん(右)。
―アクティビティはどのように選ぶんですか。
ー込山さん 縁とかタイミング、場所がうまくかけ合わさって始まりますね。
ー井口さん とりあえず二人ぐらいでやってみて、面白かったから、じゃあみんなでやってみようって。ミニマムでテストして、投資する、そしていいものを残していこうという動きですね。うちではなんでも組織的な動きはPoC[倫阿1]だな。
ー財満さん たとえば、BBQでどんな準備をするのかは想像つくけど、いざ始めてみると、足りていないものや思ったよりも火が付かないといった課題がでてくることがありますから。
ー込山さん サウナでのミーティングはすでに検証済み。焚火でもミーティングをしてみたんですが、火を見すぎて会話ができなかったんです(笑)。自分にはサウナが向いていることが分かりましたね。
社内の人間関係における効能
オフィスから車で約10分のビーチへ!朝活後にそれぞれ仕事に向かう。
―やってみて分かったことは?
ー財満さん 場所や環境が変わると、話す内容が仕事を中心にした話題から人生全般へと変わってきます。こうしたコミュニケーションを経て仕事に戻ると、仕事がしやすい。単に楽しいだけじゃなく、意図してないところに仕事への還元が生まれていることを実感しています。
ー込山さん アクティビティを通して単純に仲良くなれるというのもありますね。会社が向いている方向性や、自分がどのように評価されているのかを知る機会にもなる。
ちなみにトップダウン型の組織ではなく、代表の辻本が言うから参加しないといけないという状況はないです。
今朝は朝6時に集合してビーチテニスをして、筋トレ、サウナに入って、公園で話してからオフィスに来ました。
始業前に無になる禅活をすることも!
―皆さんとお話していると上下関係をあまり感じません。
ー井口さん 上下関係はあまりないと思うのですが、創業者や取締役という立場がフィルターとなって無言の圧力を与えることがあるかもしれません。こちらは気さくに話しているつもりでも、相手は気を使っていてお化粧した会話なのかもしれません。
それが、スポーツだとフラットな関係で、ボールを打ち合うことでコミュニケーションがとれるんですよね。
ー込山さん 若者の方が上手にできたりするし。
ー辻本さん ガチで挑んできますからね。
ー井口さん 一度フランクな関係を経験すると、そのあとのコミュニケーションがスムーズになります。
環境も、付き合う人も、時間の使い方も広島に来て変わった
―積極的にアクティビティを取り入れた効果は?
ー井口さん 広島に移住してから環境も付き合う人も、時間の使い方も変わりました。だから、ウェルビーイングな活動もできる。
ー込山さん 起きるのが4時間早くなって、寝る時間も早くなりました。
ー井口さん 俺たち変わったよね。体の成分から変わった。みんなでハッピーじゃない?
ー込山さん そう! 東京だと週末は飲みに行って上司や経営者の愚痴を言って、月曜から頑張ろうってなるのが多いと思うんです。広島に来てからは、その反対の生活。お酒を一滴も飲まなくなったし、朝型になりました。
―仕事面での変化は?
ー込山さん 何かにつなげたいという思いを持ちながらアクティビティに取り組んでいます。業務の一部に対しても「これが何につながるんだろうか」と常に考えるようになりました。自発的なアクティビティは人を成長させるんじゃないかな。
ー財満さん 僕たちの考え方は、「楽しかったね。じゃあどうする?」という次に進めるための考えが残るのが特徴ですね。持続的にいろんなものを発展させていこうとしています。
ー井口さん ただ楽しいだけじゃなくて、健康にもつながって、最終的に仕事の生産性向上にもつながっています。
ー井口さん テニスをしたら健康寿命が10年くらい延びるらしいよ。
ー込山さん 働ける時間がもっと伸びるなら成果につながるってことかも。
―アクティビティに時間やコストを割くことは、企業にとってチャレンジともいえます。不安はないですか?
ー井口さん 結果が分からない方が面白い。明確に論理や数字で説明できることは、もう誰かが検証していることだから。小さい規模でベットしながら、新しい形を探していく方がエクレクトらしいかな。
ー辻本さん ベンチャー企業は、確証がなくても可能性にかけて自分にできることで進んでいます。世の中に絶対はありません。やってみて、うまくいくなら続けて、だめなら改善するか辞めるか。試行錯誤して新しいことをしていくことを繰り返すから、強くなれると思うんですよね。
垣根を取り払って、つなげて、根底から変える
―ワークとライフを混在させることで、心身や組織のウェルビーイングを実現するということですね。
ー辻本さん 仕事とアクティビティをミックスするって、考えてみたら当たり前。切り離して考える方が難しい。どうやって融合させながらハピネスな状態になれるかが大事だと思うんです。
それができる仕事環境、仕事内容、人間関係づくりにチャレンジを通じながら、これまでにないスタイルをつくっていきたいですね。
ー井口さん 社名のエクレクトとは、ギリシャ哲学の言葉であるエクレクティック(eclectic)からきているんですけど。意味は、世の中にいい考えはすでにあって、それらを組み合わせてよりよくしていこうという考え方のこと。われわれのビジネスモデルも、日本や世界にあるいいものを“いいとこどり”をしてつなげることで、お客様の課題を解決していくものなんです。
組織の在り方も同じで、いろんな人がいて、いろんな強みがあって、その強みを伸ばしながら面白いことをやっていこうよっていうのを目指しています。日々いろんなことに出あう中で、ビジネスだからプライベートだからという垣根を取り払っていろんなものをつなぐことができたら、よりいい状態になるんじゃないかな。そうやってアンテナを張り続けていると毎日が楽しいですよね。
ー辻本さん 働き方や会社の在り方を根底から変えていきたい。それが広島で成り立つことを発信したいですね。
<ライターはこう思った!>
取材前は「エクレクトさんにとってウェルビーイングとは?」と堅苦しい質問を投げかけたくなっていたのですが、やめました。チャレンジを楽しむ皆さん自身が、既にその「答え」である気がしたのです。
リアルの場を活用して企業文化を形成し、会社の成長だけでなく働く人の幸せにつなげていく。エクレクトさんのウェルビーイングはどこまでつながっていくのか、これからも注目したいと思います。