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2024.02.20

なぜ「企業文化」が必要なのか―急成長のエクレクト社が狙うオフィスの「目的」

 

見晴らしのいい18階の大空間に、曲線を描く木製の座卓。座卓かと思っていたら、延長線上に社員がベンチとして腰掛けています。作業台は、実は卓球台で、天板を裏返せば麻雀卓に。株式会社エクレクトの400㎡のオフィスは工夫がいっぱいです。 東京から広島に本社を移転し、オフィスを“カルチャープレイス”としたエクレクトの未来戦略とは? 代表取締役の辻本真大さんにお話を伺いました。

<プロフィール>
株式会社エクレクト 代表取締役 辻本真大さん 2004年、創業4年目のMAツールベンダーに入社。Webサービス会社、EC分析ツールベンダーなどを経て、世界で17万社が利用するクラウドベースのカスタマーサービスソフトウェアZendesk日本法人と出会う。そのサービスのすばらしさに感激し、世の中に広める仕事を手掛けようと2017年12月にエクレクトを設立。Zendeskパートナープログラムにおける最上位のマスターパートナーに。コロナ禍で新しい拠点を検討し、2021年7月に広島に西日本本社を開設。理想の組織づくりにチャレンジしている。

若手スタッフの感じていた「疎外感」


 

―本社機能を東京から広島に移したきっかけは?
ー辻本さん タイミングと縁です。コロナ禍だったというタイミング、そして創業メンバーが広島出身だったという縁です。弊社はグローバル製品を扱っていることから、拠点戦略として海外を考えていたのですが、コロナ禍で計画を見直すことになりました。
コロナ前からリモートワークは推奨しており、大阪と東京にあるオフィスに時折出社していたんですが、コロナ禍にそれを一切なくしたんです。

―オフィス不要論に至らなかった?
ー辻本さん フルリモートでも仕事は問題なく回ります。ただ、創業間もない我々が企業文化を形成していくとき、リモートワークでは熱量が伝わらなくて…。特に若手スタッフで一人暮らしだったりすると、疎外感を感じている様子も見えてきました。

つながりとアイデアを生む、「文化の発信地点」を作る重要性


 
―疎外感を解消するために新しいオフィスを?
ー辻本さん フィジカルで会える場をつくる必要があると感じました。それをエクレクトらしく実現するにはどうしたらいいだろうって。
そこで考えたのが、オフィスをワークプレイスではなく、“カルチャープレイス”にすること。コミュニケーションをとったり、新しい発想が生まれたり、一体感や熱量を醸成するような「文化の発信地点」にしたいと考えました。
会社としても若く、新しい人材もどんどん入ってくる中、明確な「企業文化」の存在は重要です。社員が共感できる企業文化は、モチベーションの向上にも繋がりますし、共通する価値観を持っていれば意思決定も早くなります。採用時にも会社の特色が伝わりやすくなります。会社のアイデンティティになりブランド戦略としても大きな意味がある

そんな時、広島県の企業誘致の取り組みをキャッチアップしたんです。コロナ禍で人が多い東京に拠点を持つリスク、災害リスクを考えると本社を分散させておくことは意味がある、地方拠点もアリだな、そんな発想もあって、地方都市移転の可能性を探り始めました。

広島県庁がベンチャーっぽく見えた…福岡や神奈川も考えた末に


 

―そこで広島拠点が候補に挙がったのですね。
ー辻本さん 情報収集する中で、広島県庁の動きが自分たちと同じベンチャー企業っぽく見えたんです。連絡したらすぐに返事があって、翌週には県庁へ訪問。検討し始めて2週間で決めました。

―すごいスピードですね。
ー辻本さん 既にIT企業が集まっている福岡や神奈川に移転する選択肢もありましたが、スタートアップとしては、イノベーションを起こしたい。今は常識とされていることよりも、未来に賭けていきたい。それなら、新しいことをやろうとしている広島に行こうと決めたわけです。まだIT企業が少ない広島県なら、エクレクトの影響力も大きくなるはず。多少リスクはあっても、インパクトのある形で広島に進出しようと考えました。

人生において仕事とは何か?―人材を中心に考えるとこうなった


 

―本社機能を広島に移転すると決めた際の社員の反応は?
ー辻本さん コーポレート部門の社員が21人、東京、関西から広島に移住してきました。
「広島で面白いことするよ」って呼び掛けたら、予想以上に集まったんです。若手は、家族と一緒に住んでいないので異動しやすい、それなら大都市にいる意味ないよねっていうのが理由です。エクレクトらしいなと思いました。

―辻本さん自身は、広島にご縁は?
ー辻本さん 仕事で数回訪れた程度で全くゆかりはないんです。
でも移住してきた21人のうち、広島出身者が6人もいて。実は、拠点が生まれる前から広島とつながりがあったんだと知り、こういった共通点は大事にしたいと思いました。
広島に来てくれたスタッフをアンハッピーにするわけにはいかない。チャレンジをチャンスにしようと覚悟を決めました。
すぐに動いてくれた社員の広島への期待値を、ポジティブなパワーにうまく変換して前に進んでいこうと考えています。

―人材を中心に考えられていますね。
ー辻本さん 創業時から、一人ひとりが輝ける組織作りに取り組んできました。働く人それぞれのバリューをいかに発揮できるか、それをどう高めるか。社員の側からすれば、何のためにこの会社で働いているのか、人生において仕事とは何かを真剣に考え、納得した上でこの会社にいることができる、そんな企業でありたいと思っています。
社員約100人の入社経路の80%が、リファラル採用です。この会社なら幸せになれると社員が思ってくれているからこその数字だと思うんです。企業文化が醸成されていることの現れだとも思っています。

拠点戦略としての、「地方」のメリット


 

―広島に移転してからの変化は?
ー辻本さん ビジネス面で大きな変化はありませんが、スタッフ同士の距離感や生活は大きく変わりました。オフィスに来ると会話が生まれて、サウナ部や登山部などアクティビティーが始まっています。今朝も海に行ってサウナでミーティングして、ここにいます。やらされているんじゃなくて、一緒に作り上げていく形で発展している実感がありますね。企業文化の一つだと思います。

―これからのチャレンジを聞かせてください。
ー辻本さん のびしろのある人材を集めて一流の人材に育てる、そんなモデルづくりにチャレンジしていきたいですね。広島で世界最先端の仕事ができるということも伝えたいです。
ただ、広島に住んでいる人だけで採用活動をすると厳しいのも事実。県外からもいい人材を引っ張ってきて、企業文化をもっと強くして、大きなムーブメントにしていく。そんなイメージでいます。

―最後に広島に進出を考えている企業にメッセージを。
ー辻本さん 広島で思い描いていたカルチャープレイスができました。やるなら大胆に実行することが大事。今後の拠点戦略に生きていくと思います。
地方都市でこんな面白いことをしているという発信は、企業の価値にもなるはずです。

<ライターはこう思った!>
うらやましいほど素敵なオフィス空間。とても柔らかく温かい印象でした。足を投げ出してPCを広げてミーティングしていたり、窓辺のクッションにもたれて仕事に集中している人もいたり。一見、独立しているようみえて、次の瞬間には集まって話し始めたりする。オンオフの境界線が溶けあっている感じが心地良いです。サウナでミーティングというお話も気になります。後半では、エクレクトさんのウェルビーイング活動を紹介します!

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