地元企業インタビュー

2023.02.20

世界のモルテンが次のステージへ 開発拠点molten [the Box]に初潜入!

  1. 広島市
  2. モルテン

株式会社モルテンが、2022年、創業の地・広島市のウォーターフロントに新設した開発拠点に潜入してきました。molten [the Box]と名付けられた建物の内部は、ミュージアムのような洗練された空間が広がっています。さすが世界のモルテン! 代表取締役社長・最高経営責任者の民秋清史さんのエンジニアへの深い敬意と期待に触れて、さらに鳥肌が立ちました。

<プロフィール>
株式会社モルテン
代表取締役社長 最高経営責任者 民秋清史さん
2001年 矢崎ノースアメリカインク入社。
2006年 株式会社モルテン入社。取締役兼執行役員として 海外営業や経営企画、広報部門を担当し、2010年8月より現職。 スポーツ用品、自動車部品、医療・福祉機器、マリン・産業用品の 4事業を柱としている当社にしかできない独自の戦略を志向し、グローバルに事業を展開している。2016年 グロービス経営大学院 修了。 

ボールの会社、だけじゃなかった!

ボールはモルテン、部活の定番としても知られる
ミュージアムのように陳列されたプロダクトの数々

―無知ですみません。御社の製品はボールだけじゃないんですね。

―民秋さん モルテンは、スポーツ用品だけではなくて、自動車部品、医療・福祉機器、マリン・産業用品の大きく4事業で成り立っています。全部ハードウェアです。
今までは,それぞれの専門性を深化させて研究開発を進めてきましたが、これからモルテンが目指すモノづくりは、異なる4事業のエンジニアたちが、技術を持ち寄り、社会課題を解決するプロダクトを生み出すことだと考えています。
molten [the Box]は、人が集まり、実際に手で触れながら、新たなプロダクトを生み出す開発拠点として開設しました。構想に10年もかかりました。

3フロアを駆け上がる圧倒の大階段
映画のワンシーンのような景色が広がる

―民秋さん 内部には,プロトタイプをすぐに試せるバスケットコート「the Court」、実車を分解したり組み立てたりして分析する「the Garage」、人の動きや体圧などを測定できる「the Medical Lab」、3D加工機械でプロトタイプを作れる工作室「the Studio」があります。

「the Court」を囲むように、オフィスやミーティングスペースが
「the Garage」はまさに憧れのガレージ
「the Medical Lab」中央にあるかっこいい車椅子もmoltenブランド
最新の工作機械が並ぶ「the Studio」

―the BOXの名前のとおり、ひとつの箱に機能を詰め込んだと!

―民秋さん そうです。社員がソフト面でもハード面でも情報共有できる仕掛けをあちこちに施しています。
自社の内部だけではなく、他社とのコラボレーションもmolten [the Box]で続々と起こそうとしています。たとえば、世界中の貧しい子どもたちにスポンサーを募ってサッカーボールを贈る「MY FOOTBALL KIT」というプロジェクトを当社は続けています。プレゼントするのは、デザインオフィス nendoと共同で開発したサッカーボールです。組み立てる楽しさと運びやすさを両立した新発想のプロダクトです。

「MY FOOTBALL KIT」に続くような、他社とのコラボレーションに期待

モノづくりの「衝動」を生み出す仕掛け

約260種類の植物が植えられた敷地内に羊がいた!

―そういえば、外で羊が3頭、べぇぇぇって鳴いていました。何か狙いがあるんですか?

―民秋さん かわいいよね。僕たちは無機質なプロダクトを生み出しているように見えるけど、その先には使う人がいて生活があって、そもそも人間だけではなくて…、いろいろと考えていった結果、自然に「こんなものを作りたい!」という衝動がわき起こればいいと思います。

―ものづくりの「衝動」を促すと?

―民秋さん そうです。私たちはゼロからイチを生み出すモノづくりをしているので、ふと違和感を覚えたり、考える時間を強制的に確保するような開発環境を狙いました。なんで羊がいるの?なんで大階段の左右で段差が違うんだろう?とか思考を刺激するような違和感をちりばめています。

また、施設が点在しているので、働いていると、結構歩いているのに気づきます。座っていると、常にパソコンや携帯ばかりに向き合っちゃいますよね。でも、歩いていると、すれちがった人に相談したり、視界に入ったものがきっかけで何かをひらめいたり、コミュニケーションと考える時間を強制的に確保される構造がここの特徴です。

瀬戸内のウォーターフロントから世界を目指す!

瀬戸内海に沈む夕日が会議室をオレンジ色に照らす

―もともとあった社屋から車で20分ほど離れた海辺への移転でした。影響はありますか?

―民秋さん 広島市の中心部で、新たに広い敷地を確保するのは容易ではありません。どうしようかと思っていたら、ある役員から「世界を目指す人間は海を見ろ!」といわれて(笑)。そんな時に、海辺で再開発があるという話を聞いたのです。企業の設備投資を支援する県の助成金もあり、ここにクリエイティブなオフィスを作ろうと決めました。
広島で暮らしていながら、こんな素敵な場所があったなんて気づきませんでした。瀬戸内海に沈む夕日は感動ものですよ! みんな水辺にオフィスを出すべきだと思います。羊も飼えますしね。

モノづくりの基盤がある広島

ミニマルな外観の内部は驚きに満ちていた

―広島県の強みはどんなところにあると思いますか?

―民秋さん モノづくりの基盤があることが何よりの強みではないでしょうか。自動車メーカーさんがいる県が、そもそも少ないので、他県にはないモノづくり企業、技術、文化の集積があります。これは一朝一夕には出来ませんよね。おかげで、金属、ゴム、プラスチック、木材や繊維など、広島でほぼすべての素材の加工ができます。加工できない素材を見つけるほうが大変でしょうね。これは間違いなく、広島県の強みだと言えます。

―最後に、広島県への進出を検討している企業にメッセージをお願いします

―民秋さん 自治体の助成制度だけに頼って移転するのなら、広島に限らず、どんな地方でもビジネスで成功するのは厳しいかもしれません。ただ、地方は東京と比べると、企業数が少ないので、工夫次第でメディア露出のチャンスは圧倒的に多いです。いろいろな企業経営者や自治体トップともつながりやすいです。地場のネットワークを活用すれば、たとえ、小さな会社だとしても、地域を変えられる可能性すらあります。
モノづくりの基盤のある広島で、クリエイティブな仕事を生み出し、地方を活性化させ、自ら可能性を切り拓くぞ!と考えている気概のある会社さんには、やりがいのある県だと思います。ぜひ一緒にいいモノづくりをしていきましょう!

ライターはこう思った!

こんなオフィスで働いたらクリエイティブになりますね! 開放感と遊び心あふれる作りで、海も見える特別な場所。大階段の下にある食堂は、大学のたまり場みたいに気軽な交流が生まれていて楽しそうでした! 
テックベンチャーがmolten [the Box]に集まると、世の中が変わりそうです。

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