イベント・セミナー

2023.02.18

デジタル系企業が続々進出!実現させた江田島の最強コンビが島を案内

  1. Hi!HIROSHIMA business week 2022
  2. 江田島市

広島県がビジネスチャンス創出のために初開催した、1週間にわたるイベント「Hi!HIROSHIMA business week 2022」。最終日には、広島県江田島市に進出したIT企業や、島の交流スペースなどをめぐる1dayツアーが開催されました。
移転した企業の方たちの、「江田島のココがいい」「働き方がこんなに変わった」という生の声とともに、参加者の声も拾いつつ、当日の様子をレポートします。

<セミナー・イベントの概要>
イベント名:SATOYAMA社会見学 江田島1dayツアー
実施日:2022年10月7日
場所:広島県江田島市
参加費:無料

フウドの後藤さん(左)と江田島市の企画部川上さん(右)

<案内してくれた人>
後藤 峻さん 一般社団法人フウド 代表理事
広島県生まれ。関東の大学を卒業後、東京都で就職。島が好き&子どもが小さいうちにUターンしたいとの思いから、瀬戸内海の島での暮らしを考えるように。いくつかの島を検討し、自然や人に「伸びしろ」を感じた江田島に2016年移住。旧集会所を再生して、交流スペース「フウド」を開設。江田島の魅力は、受け皿と許容力があって、何でも挑戦できるところ。

川上 建司さん 江田島市 企画部 政策推進課
広島県江田島市生まれ。県外の大学を卒業後Uターンし、2006年より江田島市役所の職員に。人口減少が続く島の活性化を目指し、「フウド」の後藤さんとタッグを組んで、企業移転・サテライトオフィス誘致などに尽力する。活動の原動力は、「江田島に来た方に、島のいろんな魅力を知ってほしい。そして、多くの人と友達になりたい!」という気持ち。 

江田島で”デジタルアイランド”計画?!

小雨が降る中、江田島湾の「中町港」に、高速船が入港してきました。船から続々と降り立ったのは、江田島1dayツアー参加者のみなさん。皆一様に、初めて訪れた島に興味津々の面持ちです。
今回のツアーの案内役を務めるのは、江田島市役所の川上さんと、島の交流スペース「フウド」を運営する後藤さん。広島県が取り組むIT産業の強化を背景に、サテライトオフィス開設などを支援し、江田島をデジタルアイランドにしてしまおうと動きまくっている最強のコンビです。

好きな海の見える場所で働きたい

海が見える物件探しも楽しい

場所を移して、いよいよオフィス見学がスタート。初めに訪問したのは、海を見渡せる高台の古民家をリノベーションしたGene Leaf本社オフィスです。代表の安西翔平さんは、東京・六本木の会社でソフトウェア開発などに従事していましたが、コロナ禍でリモートワーク中心になったのをきっかけに独立。広島県が企業誘致に力を入れていることを知り、移住を決心したそうです。
「海の近くに住みたくて、いろいろ調べているうちに、江田島で移住を支援してくれるフウドを知りました」。その後は、後藤さんと川上さんのサポートでオフィスを開設。安西さんに続き、スタッフが6人も首都圏から越してきたと言います。

行政の補助金制度に助けられた

古民家を改装してオフィス仕様に!Gene Leafの安西さん。

日本家屋の良さを残しつつ、きれいに改装されたオフィスを目にして、参加者からは空き家探しや賃料に関する質問も。「物件は川上さんが熱心に探してくださって、良い場所に落ち着きました」と安西さん。
広島県や江田島市の補助金もあり、移住に伴う費用は想像以上にリーズナブルだったそうです。

合同会社 Gene Leaf(ジーンリーフ)
事業内容:システム開発、IT教育事業など
設立:2020年12月
従業員:6名
https://gene-leaf.co.jp/

競合する東京から、協働できる江田島へ

江田島ならではの海ビューオフィスはまるでカフェのよう。

オフィス見学2社目は、東京・新宿のIT企業「バレットグループ」の新しい開発拠点「COCODEMO江田島ラボ」です。オフィスは港のそばに建つ、江田島市能美町の市民センターのワンフロア。海と船の景色を眺めながら仕事ができるように、窓辺に沿ってデスクが設けられています。
ラボ開設のきっかけは、広島県からの熱い誘致コールだったそうですが、島の環境に一目惚れしたスタッフたちが異動を希望。現在は、東京での仕事、広島で受注するようになった仕事と並行して、島の小学生向けプログラミング教室も行っています。
「同業者同士、協力し合って仕事をする横のつながりも生まれました。東京はIT企業が多くて競合ばかり。でも江田島に来て、それが協働に変わりました」とバレットグループの後藤さんは話します。

島での暮らしは意外と便利だった

港から徒歩3分という好立地オフィスで、広島市内からの通勤も楽勝。

目の前が海という環境で、クリエイティブな仕事に従事する。とても魅力的ですが、参加者の中には、交通インフラなどに素朴な疑問を抱く方も。しかし、江田島へのアクセスは意外と便利。「広島市内には車で1時間ちょっとですし、広島市からフェリーで通勤してくる社員もいます」と後藤さん。島内にはコンビニやスーパーも充実。生活インフラ面の心配はなさそうです。

バレットグループ 株式会社(COCODEMO江田島ラボ)
事業内容:ITを用いた事業開発、システム開発、教育プロジェクト
開設:2021年3月
従業員:4名(江田島ラボ常駐)
https://bltinc.co.jp/

ワークスタイルを追求して江田島へ!!

旧保育園の建物をサテライトオフィスに!

続いて向かったのは、3年前まで使われていた旧保育園の建物。その2階をすべて借り、サテライトオフィスを開いたのが、東京・南青山のウェブデザイン会社シフトブレイン」です。縁あって島根県美郷町のブランディング事業を手がけて以来、地方に目を向けるようになったという同社。「WORKS GOOD! いい働き方をするために、いい生き方を考える」というスタイルを貫いてきました。「コロナ禍でフルリモート推奨になり、各自が好きな地域で自由に働くスタイルが浸透しました」とエンジニアの佐藤高光さん。
広島県から紹介された江田島に、勉強会なども開催できるオフィスの開設を決心。何度か足を運ぶうちに、島の自然に魅了され、川上さんの熱意も伝わってきました。当日はフロアを引き渡されたばかりで、リフォーム等の作業はこれからというところでしたが、いずれは社員みんなが集えるアットホームな拠点にしたいそうです。※2022年12月に、「えたじまサイト」という名前でオフィスをオープンしました。

地元・東京にいても、島に帰りたくなる?!

シフトブレインの佐藤さん。

「こちらに来て変わったのは、まず心のあり方です」と話す佐藤さん。「東京では電車通勤中、人と接触するたびに気づかないストレスが溜まっていましたが、今は広島市からフェリーでのんびり通っています。しかも、こっちの人はみんな親切。気持ちにゆとりが生まれました」。
移住者のリアルな言葉に、みなさん納得の表情です。東京生まれ東京育ちの佐藤さんですが、たまに本社に顔を出すと、「早く広島に帰りたい」と思うようになったそうです。

株式会社 シフトブレイン(えたじまサイト)
事業内容:ウェブサイトデザイン、ブランディング事業など
開設:2022年9月
従業員:2名
https://shiftbrain.com/

江田島進出を支える頼もしい相談役

関東から広島県にUターンした経験を活かし、多方面で移住を支援するフウドの後藤さん

後藤さんが館長を務める「フウド」へも見学に行きました。カラフルにペイントされた建物は、後藤さんが江田島の「地域おこし協力隊」に就任した後、市から活用を提案された旧集会所。1階は移住支援の相談コーナーや喫茶、2階はコワーキングスペースとしてリノベーションされています。

2階スペースもナチュラルテイストで落ち着く!

「コロナ禍による地方回帰のせいか、このところ移住相談は増加中です。私たちのモットーは、進出後のフォローもしっかり行うこと。今後も多くの方を呼び込みたいです」と意気込む後藤さん。川上さんも、「物件がありません、ではなく見つかるまで江田島市はお手伝いしますよ。進出サポートはお任せください」と話していました。二人を中心に、エンジニアや起業家を生み出す島の新しい風土が、生まれつつあるようです。

一般社団法人 フウド
事業内容:移住サポート、空き家案内、イベント運営など
開設:2017年10月
従業員:3名
https://fuudo.jp/

江田島1dayツアー参加者の声

移動中やフリータイムは、参加者同士の交流も。

ツアーの終わりに、参加された方からコメントをいただきました。

■Mさん(地域活性化・ワーケーション事業など/大阪府から参加)
ネットでたまたま今回のイベントを知り、参加させてもらいました。「地域課題をウェブサービス等で解決したい」との思いから起業し、活動を始めたばかりなので、今日は今後の仕事につながりそうなアイデアをたくさんもらいました。旅行が好きで国内外いろんな場所に行きましたが、江田島は初めて。穏やかな海の自然に癒されました。

■Nさん(ウェルビーイング推進・コミュニティデザイン事業など/東京都から参加)
江田島に進出してきた方たちの話を聞いて、海のそばで仕事ができたらいいな、のどかな環境で商品開発できたら楽しいだろうな、とイメージを膨らませました。島の人にもとても暖かい印象を受けました。

ライターはこう思った!

江田島に進出した企業などをめぐる、「SATOYAMA社会見学 江田島1dayツアー」の様子をレポートしました。都会から離れた場所で働きたいけど、本当に大丈夫? まず何から始めたらいい? そんな不安を抱かれている方も、進出企業のみなさんや、サポートしてくれる人たちのコメントに勇気づけられたのではないでしょうか。
余談ですが、江田島といえば海鮮!ツアーのランチタイムには「海辺の海鮮市場」へ。店舗1階で選んだ刺身皿を、2階の食事スペースで定食スタイルにして食べられる、江田島で大人気の食堂です。刺身定食のほかに、カキフライ定食やしらす丼定食などメニューは豊富。ツアー参加者と一緒に、新鮮な海の幸を満喫しました。
ツアーで訪ねた進出企業のみなさんへも個別でインタビューしているので、ぜひ読んでみてくださいね!

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