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2023.02.20

カルビーの「圧倒的顧客志向」とは?広島の”出島”オフィスで進む新商品開発の裏側

  1. 広島市
  2. Hi!HIROSHIMA business week 2022
  3. カルビー

広島県がビジネスチャンス創出のために初開催した、1週間にわたるイベント「Hi!HIROSHIMA business week 2022」(2022年10月3日〜10月7日)。
その期間中に開かれたのが、カルビー誕生の地・広島で活動する、同社の新商品開発チーム「Calbee Future Labo(カルビーフューチャーラボ:通称CFL)」によるワークショップです。
CFL立ち上げの経緯やこれまでの活動、新商品を生み出す工夫など、トークの中には広島でビジネスを展開するヒントがいっぱい! 

<セミナー・イベントの概要>
Calbee Future Labo が挑む「圧倒的顧客志向」によるヒット商品の開発
実施日:2022年10月5日
場所:Calbee Future Labo (広島市南区松原町5‐1 BIG FRONTひろしま7F)
参加費:無料
参加者数:10人

<登壇者紹介>

カルビー株式会社 Calbee Future Labo
樋口 謹行(ひぐち のりゆき)さん

大阪府生まれ。大学卒業後、2013年カルビーに入社。研究開発本部を経て、2016年4月に新設のCalbee Future Laboに異動。新商品の企画立案、商品化に向けたパートナー企業との交渉・調整などに携わる。広島の印象は、食事・買い物など何をするにも便利で、自然もすぐ近くにある。このちょうどいいコンパクト感が好き。

カルビー株式会社 Calbee Future Labo
堀江 佳世(ほりえ かよ)さん

広島県生まれ。県外の大学を卒業後、大阪府で就職。転職を経て2017年にUターンし、Calbee Future Laboの一員に。現在は主に、サポーターやパートナー企業との関係づくり、フォローなどを担当。広島に戻ってきて感じる魅力は、良い意味で人との距離が近く、すぐにつながれること&街全体の雰囲気があくせくしていないこと。

創業の地・広島の「Calbee Future Labo」はリラックス重視の空間だった

「かっぱえびせん」でおなじみのカルビー。本社があるのは東京都ですが、実は戦後まもなく広島市で生まれた会社です。そんな広島の玄関口、広島駅に近い高層ビルの一角に、2016年に開所した「Calbee Future Labo」があります。
当日のワークショップには、広島はもちろん東京などから10人が参加。CFL立ち上げメンバーの一人である樋口さんと、翌年から仲間入りした堀江さんの進行でトークイベント「Calbee Future Labo が挑む『圧倒的顧客志向】によるヒット商品の開発」が始まりました。

木材がふんだんに使われ、小上がりの畳スペースやキッチンが設けられたCFLは、初めて来たのになぜか安らげる快適な空間です。それもそのはず、「オフィスを訪問された方とコミュケーションを取りやすく、リラックスできる場所に」との思いからデザインされたのだとか。
ただCFL設立のきっかけは、意外にも「経営層の危機感でした」と樋口さんは話します。

託されたのは「次のヒット商品」

カルビーには「ポテトチップス」や「じゃがりこ」など、ロングセラーがたくさんありますが、2006年発売の「じゃがビー」を最後に、約10年大型のヒット商品に恵まれていませんでした。そこで、本社の開発部門とは別に、「自由な発想力で新商品を作ってほしい」というミッションを任されたのが、入社3年目の若手・樋口さんを含む3人の立ち上げメンバーです。
既成概念をとっぱらい、のびのびと企画開発ができるように、原点である広島にオフィスを開き、異業種出身の仲間とチームを結成。順風満帆なスタートを切れると思われましたが……。

早くもお手上げ!? たった3人では無理だと判断。取った手段は…

「全員が技術をわかっているわけではないし、たった3人で新しいものを生み出すのには限界がありました」と樋口さん。そこでたどり着いたのが、徹底的にお客様と向き合って、それぞれが抱える課題を探り、商品企画につなげることでした。課題解決のためには、外部の力もどんどん借りていくことにしたのです。

圧倒的顧客志向×社外との協働で新商品も誕生!

CFLが初めに取り組んだのは、顧客ニーズを探るために2,000人を対象に行ったインタビューです。それぐらい多くの人に話を聞かないと、お客様が求める商品を作れないと考えたのだとか。
当初は食に関するヒアリングを実施していましたが、食事内容だけでは見えてこないものが多い。そこで、24時間×1週間の生活実態をじっくり聞く方法にシフトチェンジします。

広島の学生さんありがとう

事前に記入してもらったシートをもとに、「この日、○時に食事したのはなぜですか」など、日々の生活習慣をヒアリングし、多角的な視点で「食」を探る方法を選んだCFL。しかし、「対象者1人のインタビューに大体1時間かかるんです。メンバーだけでは気が遠くなる話でした」と樋口さんは振り返ります。そこで頼ったのが、地元の学生の力。栄養学などを学ぶ学生にインタビュアーとして協力してもらい、膨大なデータを収集しました。

試食やインタビュー協力してくれるサポーター大募集

さらに、「サポーター募集カード」を作成して、飲食店やスーパーなどに配布。お客様が自由に持ち帰り、サポーターに登録できるシステムを作りました。「インタビューに回答してもらったり、試作品を食べてもらったりと、一緒に活動してくれる協力者を少しずつ増やしていったんです」と堀江さん。今ではその数なんと2,000人近くに!
パンに塗って焼くだけで栄養満点の軽食ができあがる「のせるん♪」は、塾通いの子どもの健康を思う親御さんの声がヒントに、睡眠サポートをしてくれる機能性表示食品「にゅ~みん」は、ベッドサイドで完結することにこだわって、水なしで簡単に口に含むことができるフィルム状になりました。既存技術をベースにして発想したものではないため、カルビーの製造ラインでは作れない商品は外部に委託します。

広島の歓迎ムードが活動の大きな後押しに。

ワークショップも佳境に入り、参加者のみなさんからは、様々な質問が寄せられました。「広島でオフィスを開所したメリットは?」との問いかけに、広島全体から感じる歓迎ムードをあげた樋口さん。
「創業の地ということもあり、メディアをはじめ多くの方が注目してくれました。サポーターやパートナー企業も、あのカルビーさんなら…という感じで、快く協力してくださいました」
企業の認知度はもちろんCFLの強みですが、広島という地方都市全体から感じた、「よくぞ広島に来てくれました!」という歓迎ムードにも勇気づけられたそう。それが、その後の活動の大きな後押しになったそうです。

ワークショップ参加者の声

ワークショップの終わりに、参加された方から感想などのコメントをいただいたので少しご紹介します!

■Uさん(中小企業・スタートアップ企業支援/東京都から参加)
若手スタートアップ起業家を取り上げる、番組連動プロジェクトを手がけたい!と考えていた折、広島のローカルラジオ局に真っ先に手を挙げてもらい、紹介もあって今回のイベントに参加しました。「新規事業は城下町よりも出島が大切」といろいろなところで耳にしますが、CFLの成功例はまさにその通り。今後のビジネスの参考になる話もたくさん聞けました。

■Iさん(投資・コンサルティング事業/岡山県から参加)
CFLの存在は前々から知っていて、一度訪問してみたいと思っていました。普段話すのは社内の人間がメインですが、今日このような場所でみなさんの意見を聞いて、仕事に生かせそうな気づきが多々ありました。広島県は新しいものを生み出そうとする、いろんな仕掛けがうまいですね。今後もこんなイベント等があれば、ぜひ参加したいです。

■Kさん(フリーペーパー事業/広島県から参加)
広島で42年の歴史を持つフリーペーパーを発行しています。読者モデルやカルチャー講師など、これまで編集部とつながりを持ってくれた約2,000人の方の情報を、アナログからデジタル分野で何とか生かしたい、そのヒントを得たいと思って参加しました。CFLのお二人が話された「新しい価値軸」を、今後私たちの仕事でも見出せたらと思っています。

ライターはこう思った!

「圧倒的顧客志向によるヒット商品の開発」をテーマに開催された、ワークショップについてレポートしました。大企業にもかかわらず、ベンチャーのようにゼロからのスタートだったことに驚きました。でも、多くの人を巻き込み、協力してもらいながら、新商品開発につなげているCFLの活動に、広島でのビジネスの可能性を感じます!
広島にはこの他にも、ユニークな企業が続々と進出!しっかりと地元に根付いています。こんなイベントを企画するなんて,行政がネットワークを大事にしている証ですね。進出を検討する企業も、気軽に広島県庁へ問い合わせができそうです。

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