コラム

2023.06.19

社長の二拠点居住用マンションの家賃は経費処理できるのか? #05

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働き方の多様化が急速に進む昨今、「二拠点生活」というライフスタイルが広がりを見せています。実際にそれを始めるとなると、何をどうしたらいいかを知る機会はなかなかありません。そこで縁あって広島と東京の二拠点生活を始めたベンチャー企業の社長が、その経験から得た二拠点生活の始め方のコツや考え方、注意すべきポイントなどを語り、これから始めようと思っている方、興味のある方々に少しでもお役に立てるようお届けしていきます。

<プロフィール>
シゲ社長:従業員約15名のデジタルマーケティングが主業務のベンチャー企業を経営。広島県や瀬戸内界隈の仕事が増えたため、「ずっと広島県」の制度を利用して数年前に広島にオフィスを開設。同時に東京と広島の二拠点生活を始める。

細かいけど大事。家賃の経費処理の話。

皆さん、こんにちは。
今回は、会社の経営者として誰しもが考えるテーマについてです。
それは、この二拠点生活を始めるにあたって生じた様々な費用は、どこまで経費で落とせるのかということです。
特に家賃については、自己負担も含めて悩ましい部分ではあるので、必ず考えるテーマになるかと思います。

大前提として、経費処理の考え方は御存知の通り、細かい状況や税理士さんの考え方などによって差が出てくるので、ここで書くことは、あくまで自分がそうだったというだけで、必ずしも全ての方に当てはまるとは思っていません。私自身も専門家ではないので、詳細は個々で必ずご確認いただきたいと思います。

さて、二拠点生活を始めるにあたって、以前に家探しのポイントについて書きました。
要注意!仕事で二拠点生活を始める人が陥りがちな家探しの最悪の”ミス”とは?#02

私の広島生活

自分の場合、運良くとてもいい物件に出あうことができました。
広さは10畳ほどのいわゆる1Kで、バス・トイレ別。東向きで日当たりもいい物件です。家賃もリーズナブルで、リフォームしたてなので綺麗で快適です。

ただ家賃は共益費合わせて7万円弱。東京であれば10万、いや場所によっては13~15万くらいはしそうですから、やはり住居費面では地方はありがたいです。
しかしこの7万でも、やはり自己負担は正直しんどい。

今回はもちろん仕事の必要に迫られての話なので、社宅扱いでなんとか経費で処理したいというのが正直なところです。 そこで色々調べたところ、またまた今まで知らないことが沢山あり、紆余曲折がありました。

やっぱり諦めずにちゃんと調べて対応すべき

さて、どこから調べようかと、「社長 マンション 経費」などのキーワードで検索すると、いわゆる節税テクニックの話が山ほど出てきます。

そもそも法律的には当然、大きな邸宅や別荘などをむやみに経費で落とされるのを防ぐために、特に経営者に社宅を供与する場合に様々な制限がかけられているようです。
自分の場合は全然そんなレベルではなく、もっと庶民的な、細かくて切実な話。
でも一応「経営者」なので、枠的にはその制約の中での話になるようです。

調べると、大まかには会社で計上できるのが家賃の50%までとのこと。
税理士さんのサイトを色々見ても「それが一般的」「無難」「無理するな」的な文字が並んでいるので、世の中そういうもののようです。

「うーん、3万5千円も自己負担するのか……」

弱気になりながら、それでも諦めずにさらに色々調べると、まずもって大きなくくりとして「小規模」な住宅は、別でもう少し適応範囲が広いことがわかりました。
税法上の「小規模な住宅」とは 床面積が99㎡以下(木造は132㎡以下)だそうなので、10畳のマンションが入らないわけがありません。

さらに調べると以下のややこしそうな条件が目に入りました。

社宅適応した家賃のうち、役員が支払うのは以下の①~③の合計額となる。

  1. (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
  2. 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
  3. (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

※2022年4月時点
※参考サイト:国税庁「役員に社宅などを貸したとき」

諦めるのは、まだ早い

正直、自分が物件の情報を見ても、この計算ができるとは思えなかったのですが、諦めるのは早いかもと思い、物件を管理する不動産会社に相談してみました。
相談したのが、たまたましっかりした会社だったので、事情を話したところ「ああ、そういうことですか。そしたら必要な情報を調べてお伝えしますね」と、快く対応してもらえたのです。
そしてその情報を担当税理士さんに渡して計算もらったところ、なんと自己負担は5,000円ちょっと。これは本当にありがたかったですね。

もちろん物件によっても大きく変わると思いますし、会社役員と社員とは前提が大きく変わりますので、注意が必要です。また物件が個人所有だったり、こういう情報をしっかり管理できていない不動産屋さんだと、すんなり情報が出てこない可能性もありそうです。
なので、物件を探す前から事情を話し、対応してくれる不動産屋を選ぶという方法もありかもしれません。

自分の場合は、結果的にラッキーだったし、やはりちゃんとした会社にお願いするメリットはこういうところにもあるんだなと痛感しました。
やっぱり諦めずにちゃんと調べて対応してよかったなと。

「二拠点生活をするベンチャー企業の社長」なんていう存在に、今の法律が細かく適応できているはずもないので、いろんな情報をかきあつめながら、関係する方たちの協力を経て、いい方法を見つけるしかなさそうです。

次回はまた生活面での具体的な準備で経験したこと、感じたことを書いてみようと思います。
ではでは。

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