働き方の多様化が急速に進む昨今、「二拠点生活」というライフスタイルが広がりを見せています。しかし実際にそれを始めるとなると、何をどうしたらいいかを知る機会はなかなかありません。そこで縁あって広島と東京の二拠点生活を始めたベンチャー企業の社長が、その経験から得た二拠点生活の始め方のコツや考え方、注意すべきポイントなどを語り、これから始めようと思っている方、興味のある方々に少しでもお役に立てるようお届けしていきます。
<プロフィール>
シゲ社長:従業員約15名のデジタルマーケティングが主業務のベンチャー企業を経営。広島県や瀬戸内界隈の仕事が増えたため、「ずっと広島県」の制度を利用して数年前に広島にオフィスを開設。同時に東京と広島の二拠点生活を始める。
地元採用の社員に言われて気づいた大きな過ち
皆さん、こんにちは。
今回は、まずは一番重要でポイントとなる「すまい探し」についての経験をお話します。
前の記事にも書いたように、広島の特に中心部は適度な都会なので、マンションなどは
普通に多くの選択肢から探すことができます。
自分もそういう意味では、なんの不自由も疑いもなく、大手の不動産サイトやアプリなどを活用して候補を探し始めていました。
オフィスも街中にあるので、それこそ夢の徒歩通勤もいいな…。
東京と広島の行き来が多いから、夜に広島に到着したときのために、広島駅からそんなに遠くないほうがいいな…。
そう、今思えば最初はまるで「ビジネスホテル」の代替手段としてのマンションを探していました。
そしていくつかの候補が上がったときに、広島で現地採用したメンバー何人かに
「このあたりどうかな?」と聞いてみたんです。
どれもオフィスから歩いて10分以内の超便利な物件。それでももちろん東京に比べると家賃もリーズナブルでバーゲンセールみたいな気分になるし、設備なんかも贅沢ではないけど、まあまあな感じだし。
周辺の環境さえ問題なければ、どれも良さそうなんだけど、どうかな…。 そう思いつつ聞いてみたら、自分としては全く予想外の反応が返ってきました。
「そんな場所で、広島ぐらしを楽しめますかぁ??」
地元在住メンバーは、少し呆れたような口調で、ちょっと怒りもこもった口ぶりで、そんな言葉を返してきたんです。
あまりに想定外で、うまく反応できませんでした。
同時に、「楽しむって言っても、どうせ毎日仕事だし…」なんて思っている自分もいました。
ところが、今振り返って思うと、この一言がなければ、自分は本当にひどいすまい選びをしてしまって大後悔することになったはずです。
暮らし始めて約1年、今となってはその理由をはっきりと説明できます。
毎日の○○○から逆算してすまい選びをすべき
想定外な反応で、少しふてくされながらも、探す範囲を広げてみました。
すると確かに、市街地ど真ん中とは全く違う生活の景色が見えてきます。
スーパーやコンビニ、帰りに寄れそうな定食屋さんとか、散歩すると気持ちよさそうな川辺の遊歩道とか、親切そうなクリーニング屋さんとか、そういう暮らしの風景がだんだん目に入ってきました。
考えてみれば当たり前で、「生活する」わけなので、「宿泊する」のとは大きく違います。
仕事で二拠点生活を始める人が犯しがちな最悪のミス、それはこの「ホテル代わりになる部屋」を探してしまうということ。
これは意外と周囲でも同じような経験をしている人がいました。
そうなると、オフのない人生です。
自分も危うくその過ちに陥りかかっていました。
では、逆に最初に考えるべき条件というのは何でしょうか?
それは、やはり「食生活」だと自分は思います。
「何を食べるか」だけでなく、どこで買うかとか、何時ころに帰宅する時はどのあたりで食べて帰るかとか、それこそ土日はどうするかなども、しっかりシミュレーションすべきです。
振り返ってみれば、最初のころに探していたエリアに住んでいたら、毎日コンビニか弁当チェーン店の2択しかありませんでした。危うくそんな生活を送ることになったと考えたら、仲間のアドバイスは本当にありがたかったと思います。
ちなみに最終的に選んだマンションは、オフィスまで徒歩約25分。
ちょっと遠いので毎日とはいきませんが、天気のいい日は広島の景色を楽しめるいい感じの徒歩通勤も実現できました。また前の記事に書いたように、広電(路面電車)も近くなので、エスカレーター感覚で、あちこち移動できるのは、休日も非常に便利な立地です。
周囲には定食屋や町中華もあるし、広島らしくお好み屋さんは徒歩圏に5〜6件もあります。コンビニもスーパーも近いので、もしかしたら東京よりも便利な環境かもしれません。
そんなわけで食生活シミュレーションをベースにした、物件選びを強くおすすめする次第です。
さてさて、せっかく話が「食」につながったので、次は広島では欠かせない”あの食べ物”について触れてみたいと思います。
ではでは。